建築物を建築する前には、原則、建築確認申請が必要な工事が法第6条に定められています。
新築はさることながら、防火地域・準防火地域では、1㎡の増築でも確認申請の手続きが必要となります。
そこで、下記の疑問がでてくると思います。
はてな
- 確認申請がなぜ必要なのか?目的は?
- 建築確認申請で何を確認するの?
について、この記事では、解説していきます。
また、建築確認申請が必要な工事については、下記の記事で解説していますので、あわせてご確認ください
建築確認申請の目的
建築確認申請は、建築する前に、建築主事が建築計画の内容を確認するため、未然に、防火、安全、衛生上の面で支障がある(違反)建築物ができるのを防ぐことを目的としています。
また、建築基準法では、基準に適合して建築されるように、工事前、工事中、工事の完了後にその建築物の適合性を確認する制度があります。
メモ
工事前:建築確認申請(法第6条第1項)
工事中:中間検査(法7条の3)
完了検査:完了検査(法第7条)
建築確認申請で確認する内容
確認する内容は提出された建築計画が建築基準関係規定に適合しているかを確認します。
建築基準関係規定とは【令第9条】
【建築基準関係規定】(令第9条)を確認します。
改正により、建築基準法からは【建築基準法関係規定】の文言が削除されました。
【建築基準関係規定】とは
- 建築基準法とこれに基づく命令及び条例の規定
- 建築基準法以外の法律で、建築物の敷地、構造、建築設備に関する法律とこれに基づく命令及び条例の規定
令第9条に建築基準法以外の法律が規定されています。
第9条 法第6条第1項(法第87条第1項、法第87条の2法(法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)並びに法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次に掲げる法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令及び条例の規定で建築物の敷地、構造又は建築設備に係るものとする。
- 消防法 第9条、第9条の2、第15条及び第17条
- 屋外広告物法 第3条から第5条まで
- 港湾法 第40条第1項
- 高圧ガス保安法 第24条
- ガス事業法 第162条
- 駐車場法 第20条
- 水道法 第16条
- 下水道法 第10条第1項及び第3項、第25条の2並びに第30条第1項
- 宅地造成等規制法 第8条第1項及び第12条第1項
- 流通業務市街地の整備に関する法律 第5条第1項
- 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 第38条の2
- 都市計画法 第29条第1項及び第2項、第35条の2第1項、第41条第2項(同法第35条の2第4項において準用する場合を含む。)、第42条、第43条第1項、第53条第1項並びに同条第2項において準用する同法第52条の2第2項
- 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法 第5条第11項から第3項まで(同条第5項において準用する場合を含む。)
- 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 第5条第4項
- 浄化槽法 第3条の2第1項
- 特定都市河川浸水被害対策法 第8条
建築基準法関係規定とみなす
施行令第9条には定められていませんが、それぞれの法律において、建築基準法関係規定と定められています。
そんな書き方をしなくいて、全部建築基準法関係規定にまとめてほしいですよね!!
- 都市緑地法 第35条、第36条及び第39条第1項
- 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 第14条第1項から第3項
よって、確認申請の時に上記についても、指摘を受けますので、事前に内容をご確認ください。
審査内容の特例【法第6条の4】
確認申請では、建築基準関係規定に該当する規定を確認します。
しかし、下記に該当するものは、単体規定の一部が建築確認の対象から除かれます。
確認の対象とならないもの
- 第68条の10第1項の認定を受けた型式に適合する建築材料を用いる建築物
- 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
- 第6条第1項第4号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
また、除外される規定は、施行令第10条に記載されています。
特例の理由
特定行政庁や民間確認検査機関の事務量を少なくし、業務全体の効率を上げるためです。
建築士が設計し、工事監理をすれば、基本的には問題ないという性善説の上になりたっています。
確認と許可の違い
確認
建築主事が、建築計画の内容について、法解釈上の裁量権がなく、【建築基準関係規定】に適合しているか確認する行為となります。
また、別途の条件を付して確認することはできません。
しかし、実際は、特定行政庁によって、基準が違っていたり、建築主事によっても違う場合があります。
許可
許可を受けることで、禁止されていることが、できるようになる制度です。
また、法第92条の2により、許可をうけるにあたり、建築物又は建築物の敷地を交通上、安全上、防火上又は衛生上支障がないものとするための条件その他必要な条件を求められる場合があります。
違い
そのままにはなりますが、確認は建築計画が基準に合っているか。の確認で、許可は、原則禁止されているものを許可を受けることで可能となることです。
参考
解釈によっては、【確認を受けないと工事してはいけない】と制限をかけており、【確認を受けることで建築が可能】となるので、性質としては、許可に相当すると考える人もいます。
確認済証の効力
確認済証の有効期限はありません。
しかし、工事の着手前に、法律等の改正等により、規定が変更された場合は、確認済のとおりに建築すると適法ではないので、事前に計画変更の手続きが必要となる可能性があります。
改正後に適法な場合でも、完了検査時に図面等を求められる可能性があるので、事前に図面の準備をしておく方がいいかと思います。
権利関係について
申請敷地の所有関係や、土地を借りているなどの権利関係については、審査対象ではありません。
あくまでも、計画建築物が建築基準関係規定に適合しているかの確認を行います。
よって、建築確認済証の交付により、計画敷地に建築できる権利が付与されるものではありません。
他法令との関係
確認申請では私法上の権利は確認していないため、実際に建築する際は、建築することができる権利が必要となります。
また、宿泊施設や飲食店、福祉施設などのそれぞれの法律での許可や届け出があり、それらの手続きを行うと営業ができます。
しかしそれらの必要な手続きを取っていたとしても、建築物を使う上では、建築基準法の規定を満たす必要があります。
まとめ
この記事では、
はてな
- 建築確認申請の目的は?
- 建築確認申請で何を確認するの?
について、解説しました。まとめると、
建築確認申請の目的
建築確認申請は、建築する前に、建築主事が建築計画の内容を確認するため、未然に、防火、安全、衛生上の面で支障がある(違反)建築物ができるのを防ぐことを目的としています。
建築確認申請での確認内容
令第9条の【建築基準関係規定】を確認をします。
また、【都市緑地法 第35条、第36条及び第39条第1項】、【高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 第14条第1項から第3項】も建築基準関係規定となります。
建築確認審査内容の特例【法第6条の4】
下記に該当するものは、建築確認の対象から除かれます。
- 第68条の10第1項の認定を受けた型式に適合する建築材料を用いる建築物
- 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
- 第6条第1項第4号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
まとめると、以上のとおりとなります。
建築士の方であれば、普段あまり気にならないと思います。
しかし、たまに聞かれるときがあるかと思いますので、これを参考にしていただけたらと思います。