総則

既存不適格?【適用の除外?】(法第3条)

これからの時代、新しく建築物を建築することもありますが、既存の建築物を活用し、増築や用途変更をするケースが増えてくると思います。

そこで気になるのが、法第3条の適用の除外や既存不適格についです。

しかし、建築基準法の中でも法第3条はわかりにくい部分になります。

よって、この記事では

はてな

  • 【法第3条】適用の除外とは?
  • 既存不適格とは?

と疑問をお持ちの方に対する解説の記事となっています。

【法第3条】の適用の除外(既存不適格)の適用を受ける建築物を増築などする際の緩和については、後日、別の記事で解説します。

 

また、取扱いは特定行政庁または民間確認検査機関によって違う部分がありますので、これを参考にご確認ください。

なお、法文等は参考で記載している部分もありますが、全文を確認される場合は、お手持ちの法令集等をご確認ください。

【法第3条】適用の除外とは?

法第3条はわかりにくいので、最初に簡単にまとめました。

そもそも適用の除外とは?

いろいろな理由から現行の建築基準法の規定を満足させなくてもよい。ということです。

適用除外の条件は、二つあります。

【条件1】文化財保護法などの法律で歴史的や芸術的に価値のある建築物【第1項】

理由は、建築基準法を適用すると、歴史的、芸術的価値を損なうため、修繕、再現ができなくなるために除外することができます。

【条件2】既存の建築物および工事中の建築物で法律の改正により新しい規定に適合しない建築物【第2項】

理由は、既存の建築物が法改正により、違反建築物になると困りますよね?

また、法律の改正があったからといって、工事中の建築物を新しい規定を満たすような変更が必要となれば大変ですよね?

といった理由で、除外されます。

なお、【条件2】に該当する建築物でも、現行の規定を適用させなければならない場合があります。

【条件2】に該当するが適用除外にならない建築物

法改正の前から規定を満たしてない【違反建築物】で、改正後の規定にも満たしていない建築物です。

元から違反していた建築物が法改正によって、違反建築物ではなくなるのは、おかしいですよね?

 

ここでは、【法第3条】適用の除外の解説になりますので、【法第3条】の適用の除外(既存不適格)の適用を受ける建築物を増築などする際の緩和については、後日、別の記事で解説します。

 

既存不適格(既存不適格建築物)とは

上記の【条件2】に該当する建築物です。

法第3条【適用の除外】の解説

ここからは、法第3条について、解説します。

まず、法第3条は第1項から第3項で構成されています。

第1項【歴史的、芸術的建築物等の適用除外】

第1項は第1号から第4号で構成されています。

第1号・第2号:国民的財産を守る

国宝、重要文化財等として認定または指定等された建築物は、歴史的、芸術的に価値のある建築物は、国民の財産として、将来にわたり保存していく必要があります。

しかし、適用の除外がなければ、これらの建築物を修繕をする場合は、建築基準法を適用させなければなりません。

そうなると、そもそも再現ができなかったり、歴史的、芸術的価値を損なったりするなど、修繕ができない場合あります。

よって、第1号と第2号に記載されている建築物等は建築基準法の適用を除外されています。

第3号:地域の財産を守る

第3号は、国宝や重要文化財の指定は受けていないが、これらと同等に歴史的価値等が大きく都道府県指定や市町村指定を受けている建築物が建築基準法の適用を除外されています。

除外される条件として、文化財保護法第182条第2項の条例の措置が講じられている建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定されたものです。

第3号について、技術的助言が通知されています。

平成26年4月1日国住指第1号(建築基準府第3号第1項第3号の規定の運用について)

内容としては、第3号を適用するための条例の指定のフローや現在の適応事例などが記載されています。

第4号:第1号から第3号の建築物の再建築(復元)

第1号から第3号は、国宝や重要文化財の指定等をうけた建築物等の修繕等を行う場合の建築物に対しての適用の除外ですが、第4号は、前3号の建築物が火災などで焼失した場合に、それを再建築(復元)する場合の適用除外です。

除外される条件は、第1号から第3号の建築物を再現する場合に、特定行政庁が建築審査会の同意を得て認めたものです。

第1項まとめ

第1項をまとめると、下記の建築物が適用除外となります。

  • 重要文化財の指定(国宝や重要文化財)
  • 旧重要美術品等の保存に関する法律の認定
  • 地方公共団体による文化財保護法第182条第2項の条例の措置+特定行政庁の指定
  • 第1号から第3号の建築物等の再建築+特定行政庁が認める

適用できるケースとしてはごく稀ですので、第1項に該当しそうな場合は、所管の特定行政庁にご相談ください。

第2項【既存不適格】

第2項がよく言われる既存不適格について定めた規定です。

まとめると、建築基準法等の規定の施行や改正の際に【現に存する建築物とその敷地】と【工事中の建築物とその敷地】は施行や改正される規定に適合しない場合は、当該規定は適用しない。ということです。

 

第2項にある用語の説明

まずは、第2項の法文中に出てくる用語の説明をします。

メモ

この法律又はこれに基づく命令若しくは条例

建築基準法または建築基準法に基づき、地方公共団体等が定める条例等及び命令となります。

条例は地方公共団体で定めることができ、代表的なものは法第40条になります。

規定の施行又は適用の際

建築基準法の改正(施行)があったときや都市計画法および法等の区域の指定または変更により、新たに区域に指定、変更があったときの時点となります。

いいかえると、新しい法律や条例が施行されたときです。

工事中

どこからが工事中なのかですが、建築物本体の工事をしていれば、もちろん工事中です。

また、着工前と工事中の違いですが、工事の施行を目的として、掘削工事(土を触る行為)を行う場合は工事中に該当します。

よって、縄張り、仮囲い、機械の搬入などは工事中に含めないとされます。

特定行政庁によって、多少違いがあるかもしれませんので、念のため、工事を急がれる場合はご確認ください。

【建築物、建築物の敷地】と【建築物もしくは建築物の敷地の部分】の違い

法律等の改正の際、適合しないのが、【建築物、建築物の敷地】の全体が適合しないのか、それとも【建築物もしくは建築物の敷地の部分】が規定に適合しないのか。の違いとなります。

法文で書き分けていますが、大きな違いは違いはありません。

第2項まとめ

最初にまとめていますが、もっと簡単にまとめると

法律が新しくできたり、変わったりしたときに、すでにある建築物と敷地や工事中の建築物は、新しい規定に適合していなくても、その新しい規定は適用しません。

となります。

第3項(二重否定)

第2項により、既存建築物等で、新しい規定に適合しない場合(既存不適格)は、新しい規定は適用しないとしています。

しかし、すべての建築物が適用しないとすると問題が出てきます。

よって、第3項第1号から第5号により、第2項の適用を受けることができない建築物を規定しています。

問題①違反建築物が改正後も不適合ならそのまま違反建築物

第1号

従前の規定に違反している建築物は、規定が厳しく改正すると改正後の基準も適合しません。

しかし、第2項だけであれば、これらの違反建築物も改正後は、法等の適用を受けなくなります。

それは不合理なため、第2項の規定を適用しないこととしています。

改正後の規定に適合しない建築物は以下の3つのケースに分類されます

①従前の規定に適合していた。または適用を受けていないもの(改正により不適合になったもの)

②改正前の従前の規定に適合していないもの(改正前から不適合のもの)

となり、②はさらに下記の2つのケースに分かれます。

②-1.改正前から第2項の規定を受けていたもの(改正前から既存不適格)

②-2.従前の規定を受けながら適合していなかったもの(違反建築物)

 

第1号では②-2が該当

第1号では、【当該規定に相当する従前の規定に違反している建築物】と記載しているので、上記の②-2の改正前から違反建築物であったものについて、第2項の規定は適用しない。こととしています。

 

第2号

都市計画区域内・準都市計画区域内に適用される【第3章】の規定について、都市計画の決定または変更の際、改正後の規定に適合していない建築物について記載しています。

基本的な考え方としては、第1号と同じで、改正前の規定に違反している建築物その敷地で、改正後の規定にも不適合の建築物は、第2項の規定は適用しない。としています。

第1号・第2号まとめ

第1号・第2号にそれぞれ記載していますが、該当するケースとして1つ例を記載します。

例①

元々、建ぺい率が30%の区域に建ぺい率80%の違反建築物があると仮定して、

その後、建ぺい率の改正で限度が50%に変更になった場合、第2項だけでは、既存80%で建築されている違反建築物が変更後の50%にも適合しないため、この建築物は法第3条の適用の除外が受けれなくなります。

 

一般的に考えると違反している建築物が法改正後の規定に適合しないことをもって法等の適用を受けないのはおかしいですよね。そのための規定となります。

問題②

第2項の規定を受けて、法の適用を受けなくなった建築物がその後、大規模な増築等を行い、建築物としての寿命が延びることで、いつまでも不適合建築物が存在することです。

 

それを防ぐため、第3号と第4号の規定があります。

第3号

第2項により、適用の除外となった建築物でも、原則、増築、改築、移転、大規模の修繕または大規模の模様替(増築等)を行う場合には、不適格部分も含めて全面的に法の規定の適用します。

 

また、増築等に該当しない、大規模に該当しない修繕または模様替は、この号の対象とならないので、不適合部分を残して工事しても支障ないです。

しかし、不適格部分を修繕又は模様替する場合は法8条により、常時適法な状態に維持するように努めなければならない。と定められているので、現行の規定で修繕等を行うようになります。

 

第4号

第4号については、第2項の中にある、

【建築物、建築物の敷地】と【建築物もしくは建築物の敷地の部分】の違いと同じです。

 

第3号・第4号まとめ

第2項の規定により、適用の除外(既存不適格)となっている建築物でも増築、改築、大規模の修繕または大規模の模様替をする場合、既存不適格の部分も含めて現行の基準に適合させる必要があります。

 

しかし、法第86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和)があるので、既存不適格建築物を増築等を行う場合でも、一部緩和があります。

 

この辺から否定の否定(二重否定)からの否定(三重否定)になるので、どんどん法文が読みづらくなっていきます。

 

そのため、今回は、法第3条(既存不適格)のみの解説の解説をします。

 

第5号

第2項で適用の除外を受けている建築物でも、周辺環境の変化や、修繕および模様替を行うことで現行の規定に適合する場合があります。

適合した建築物は、第2項の適用の除外を受ける必要がないため、第2項の適用がうけれず、適法な建築物となります。

 

よって、適合した後、再度、規定に適合しない状態になれば、それはただの違反建築物となります。

 

まとめ

建築基準法第3条について、各号ごとに記載していますが、最初書いています下の2つについて再度まとめます。

  • 【法第3条】適用の除外とは?
  • 既存不適格とは?

【条件1】文化財保護法などの法律で歴史的や芸術的に価値のある建築物【第1項】

理由は、建築基準法を適用すると、歴史的、芸術的価値を損なうため、修繕、再現ができなくなるために除外することができます。

【条件2】既存の建築物および工事中の建築物で法律の改正により新しい規定に適合しない建築物【第2項】

法律が新しくできたり、変わったりしたときに、すでにある建築物と敷地や工事中の建築物は、新しい規定に適合していなくても、その新しい規定は適用しません。(違反建築物は除きます。)

しかし、条件2に該当する建築物でも、増築などをする場合には、内容によって新しい規定に適合させなければいけません。

既存不適格とは

上記の条件2に該当する建築物です。

 

以上となります。

あくまでも、特定行政庁や民間確認検査機関によって、取扱いが違う場合がありますので、これを参考に所管の特定行政庁にご確認ください。

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