総則

建築基準法でいう工場とはどんな建築物?

建築基準法では、住宅や事務所などの建築物の種類のことを【用途】といいます。

その用途の中で、【工場】という種類がありますが、建築基準法でいう工場は、一般に想像する工場だけではありません。

そのため、行政に建築の相談したら、

  • それは工場に該当するので建築できません。
  • 作業場の床面積は50㎡までです。

と言われた。というケースを聞きます。

では、どんな建築物が工場なのか?となります。

そこで、この記事では、

はてな

  • 建築基準法でいう工場とはどんな建築物?

について、解説します。

また、取扱いは特定行政庁または民間確認検査機関によって取扱いが違う場合がありますので、これを参考にご確認ください。

建築基準法でいう工場とは

一般的に想像される工場の範囲よりかなり広いです。

建築基準法でいう工場とは、、物品等の製造、加工、仕上、仕分、包装、荷造等の作業を一定期間継続して行うものとなります。

よって、人や機械が物に手を加え、状態を変える(物質的変化をさせる)場合は、工場に該当する可能性が高いです。

工場についての過去の質疑応答等

昭和14.6.29の質疑応答、平成5年の通達を記載しています。

工場の解釈(昭和14.6.29)

照会

工場とあるは生産を目的とする事業を営むものにして生産を目的とせざるものは工場に非ずと解し可然哉。

工業学校、工業試験場、機械工養成所等の如き生産品を売却することあるも目的は工業の教育、研究、職工の養成にして瀬さんを目的とせざるものは工場に非ずとして可然哉。

回答

工場とは通例職工を使用し製造若しくは加工又は仕上、仕分、包装、荷造等の作業を或る期間継続して為すを目的とする一定の場所を指称するものとす。

工場の取扱いについて(平成5住街発225号、住街発94号)

工場として取り扱う建築物の用途の範囲については、基本的に昭和14年6月29日付け照会回答に示す通りであるが、近年の生産技術の進展等に伴い、「通例職工を使用しない」無人の作業がなされる作業全般を総合的に勘案の上、通例職工を使用する工場と同様の作業がなされるものであると判断される場合にあっては適宜これを工場として取り扱うこととされたい。

また、通達の中で、仕分、包装、荷造り等の諸作業を行う倉庫や、廃品から新たな製品や原料を製造するリサイクル施設についても、工場に該当すると記載しています。

特殊な工場についての質疑応答等

冷蔵工場の冷蔵室 (昭和26.9.19住指発900号)

照会

某冷蔵株式会社から別紙図面のような冷蔵工場建築の許可申請があったが、本申請の冷蔵室は鮮度保持のため鮮魚や青果を一時貯蔵しておくにとどまり、単なる冷蔵室であるから作業場とは認め難いが如何か。

回答

貴見解のとおり、法別表第2(い)項第2号及び(ろ)項第2号(現別表第2(は)項第2号及び(ほ)項第2号)に掲げられている作業場には、冷蔵工場にあっては、製氷室及び機械室は含むが、貯氷室その他これら貯蔵部分に附属する準備室は含まれない。なお、(・・・)

えのき茸の栽培施設(昭和47.6.7住街発590号)

照会

(・・・)えのき茸の栽培は、冬期間の農閑期を利用した農家の副業としてはじめたものでありますから、最近は人工的に温度調整を行い生産量の増大をはかっており、これらの施設は一般的に別添図面のような施設であります。

これらの施設の取扱いについて、下記のように取扱いたいが疑義がありますのでご教授お願いします。

  1. えのき茸の栽培は林業に分類されるが、人工栽培されているものであり食品の生産と考えられるので、用途は工場として取扱う。

回答

昭和47年5月12日付け47建第119号で照会のあった標記について、下記のとおり回答します。

照会事項1について

機械的または科学的な操作を用いることにより集約的かつ短時間に農産物を栽培または養殖する施設は、工場と解する。従って、設問に係る栽培施設は、工場である。

 

まとめ:建築基準法での工場とは?

上記の解説をまとめると、工場とは、通例職工または通例職工と同等の機械を使用し製造若しくは加工又は仕上、仕分、包装、荷造等の作業を或る期間継続して為すを目的とする一定の建築物となります。

また、作業等がない場合でも、貯蔵すると同時に物質的変化(液体から固体など)を起こさせる場所は工場(作業場)となります。

簡単にいいますと、物品等を人や機械によって、手を加えるの作業を、ある一定期間継続して行う建築物となります。

よって、一般の方が思う簡単な作業場等についても、建築基準法では、工場としての規定を受ける可能性が高いですので、ご注意ください。

 

以上、まとめてみましたが、特定行政庁によって、判断が微妙に違う場合がありますので、建築場所の特定行政庁に確認していただけたらと思います。

 

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