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別の建築物とみなせる(扱える)規定を確認しよう

新築、増築、改修などの設計をしている方から、適用を受ける規定の対策が難しいので、別の建築物としてみなせる、扱える規定がないですか。と相談を受けることがあります。

しかし、あまり検討されたことがない方が多いような気がします。

よってこの記事では、下記のことについて解説します。

はてな

  • 別の建築物としてみなせる規定の種類は?
  • 別の建築物とは?

 

別の建築物としてみなせる規定は4つ

別の建築物としてみなせる規定

  • 構造検討上(法第20条第2項→令第36条の4)
  • 既存部分と増築部分(法第86条の7第2項→令第137条の14各号)
  • 廊下、避難階段及び出入り口(令第117条第2項)
  • 排煙設備(令第126条の2第2項)

以上の4つです。

それでは、ひとつずつ解説します。

 

構造上別の建築物(法第20条第2項→令第36条の4)

まず一つ目ですが、エキスパンションジョイント等の応力を伝えない構造で接続した場合、それぞれ別の建築物として構造の検討ができます。

これは、4つの中で一番わかりやすいと思います。

条文

参考

法第20条(構造耐力)

2 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

令第36条の4(別の建築物とみなすことができる部分)

法第2条第2項(法第88条第1項において準用する場合を含む。)の政令で定める部分は、建築物の二以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している場合における当該建築物の部分とする。

既存不適格建築物を増築する際に別棟(法第86条の7第2項→令第137条の14各号)

次は二つ目です。

法第20条および第35条について、既存不適格の建築物を増築等する場合に、各号に定める対策を行うと下記の規定に対して別の建築物として扱うことができます。

  • 構造上(第1号)
  • 廊下、避難階段及び出入口、非常用の照明装置(第2号)
  • 排煙設備(第3号)

非常用の照明装置以外は、既存不適格ではない場合でも適用可能な規定の部分でもあります。

条文

参考

第86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和)

2 第3条第2項の規定により第20条又は第35条(同条の技術的基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。以下この項及び第87条第4項において同じ。)の規定の適用を受けない建築物であつて、第20条又は第35条に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分(以下この項において「独立部分」という。)が二以上あるものについて増築等をする場合においては、第3条第3項第3号及び第4号の規定にかかわらず、当該増築等をする独立部分以外の独立部分に対しては、これらの規定は、適用しない。

第137条の14(独立部分)

 法第86条の7第2項(法第88条第1項において準用する場合を含む。)の政令で定める部分は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該各号に定める部分とする。

一 法第20条第1項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分 第36条の4に規定する建築物の部分

二 法第35条(第5章第2節(第117条第2項を除く。)及び第4節に規定する技術的基準に係る部分に限る。)に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分 第117条第2項各号に掲げる建築物の部分

三 法第35条(第5章第3節(第126条の2第2項を除く。)に規定する技術的基準に係る部分に限る。)に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分 建築物が次のいずれかに該当するもので区画されている場合における当該区画された部分

イ 開口部のない準耐火構造の床又は壁

ロ 法第2条第9号の2ロに規定する防火設備でその構造が第112条第18項第1号イ及びロ並びに第2号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの

廊下、避難階段及び出入り口(令第117条第2項)

三つ目は、令第117条第2項第1号または第2号(H28告示第695号)により、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている場合に下記の規定が別の建築部として扱うことができます。

  • 令第118条(客席からの出口の戸)
  • 令第119条(廊下の幅)
  • 令第120条(直通階段の設置)
  • 令第121条(二以上の直通階段を設ける場合)
  • 令第121条の2(屋外階段の構造)
  • 令第122条(避難階段の設置)
  • 令第123条(避難階段及び特別避難階段の構造)
  • 令第123条の2(共同住宅の住戸の床面積の算定等)
  • 令第124条(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)
  • 令第125条(屋外への出口)
  • 令第125条の2(屋外への出口等の施錠装置の構造等)
  • 令第126条(屋上広場等)

対策は簡単ですが、区画をする必要があるので、使い勝手が少し悪くなるかもしれません。

条文

参考

第117条(適用の範囲)

2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

一 建築物が開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている場合における当該区画された部分

二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に火熱又は煙若しくはガスによる防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分

排煙設備(令第126条の2第2項)

四つ目は、開口部のない準耐火構造の床若しくは壁または防火設備等で区画したら、排煙設備の規定が別の建築物として扱えます。

この規定は排煙設備の規定ができた昭和46年からあります。

趣旨

既存不適格の建築物を増築する際に、排煙設備の規定を受けていない既存の部分にまで新たに排煙設備の規定を適用させると、改修費用や機能上相当の負担が生じます。

よって、排煙上支障がないように区画をすればよい。という規定です。

しかし、特定行政庁によっては、既存不適格の増築にしか適用できないとしているところもあるそうです。

最近、国交省はパブコメの質疑応答で2度にわたり新築・増築でも適用可能であると回答しています。

ですので、これまでは、適用できないとしていた特定行政庁も適用可能となるのではかと思います。

条文

参考

第126条の2(設置)

2 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9号の2ロに規定する防火設備でその構造が第112条第18項第1号イ及びロ並びに第2号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合においては、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

別の建築物とは?

まずは、別の建築物について説明します。

一の建築物で建築物全体で規定を受ける

建築基準法の単体規定については、建築物ごとで規定を受けるようになります。

たとえば、下記の規定などです。

  • 主要構造部の防耐火の規定
  • 避難施設等の規定
  • 構造耐力の検討

 

まとめ

以上、この記事では、下記のことについて解説しました。

はてな

  • 別の建築物としてみなせる規定の種類
  • 別の建築物とは?

まとめると、

別の建築物としてみなせる規定は4つ

別の建築物としてみなせる規定

  • 構造検討上(法第20条第2項→令第36条の4)
  • 既存部分と増築部分方(法第86条の7第2項→令第137条の14各号)
  • 廊下、避難階段及び出入り口(令第117条第2項)
  • 排煙設備(令第126条の2第2項)

また、原則一の建築物として規定の適用を受けます。

以上です。

たまに気になるときがあるかと思います。

気になった際は、この記事を再度ご確認いただけたらと思います。

また、このブログが皆様の日々の業務の参考になればと思います。

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