計画によっては、採光補正係数を計算する際に、縁側を介して採光を確保する場合があります。
第2項中に、「その外側に幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く。)その他これらに類するものがある開口部場合にあっては、当該数値に0.7乗じて得た数値」とすると記載されています。
その際に、下記の疑問が出てきます。
はてな
- 90cm未満の縁側の場合は、1.0を乗じるのでいいのか
- 90cmをはるかに超える幅の縁側でも、0.7を乗じるのでもいいのか
よって、この記事では、上記の疑問について解説します。
開口部が縁側に面する場合の採光補正係数の計算方法
条文では下記のように記載しています。
抜粋
その外側に幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く。)その他これに類するものがある開口部にあつては当該数値に0.7を乗じて得た数値)とする。
よって、90cm以上の場合は、0.7を乗じたらいいというのは、わかると思います。
また特定行政庁や民間確認検査機関によって違うところもありますが、大阪府では、下記の取扱いを公表しています。
大阪府の取扱
- 0.9m未満 100%
- 0.9m以上~2.0m未満 70%
- 2m超 縁側を室として取扱う
(参照:大阪府内建築連絡協議会 建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕 )
別途取扱いを公表していない特定行政庁等では、上記の取扱いで検討しても問題ない場合が多いです。
よって、計算方法は下記のとおりとなります。
(例)住居系地域で幅91cmの縁側に面する場合
(水平距離/垂直距離×6-1.4)×0.7
となります。
条文
上記で解説しましたが、改めて条文を確認しましょう。
参考
第20条(有効面積の算定方法)
法第28条第1項に規定する居室の窓その他の開口部(以下この条において「開口部」という。)で採光に有効な部分の面積は、当該居室の開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定するものとする。ただし、国土交通大臣が別に算定方法を定めた建築物の開口部については、その算定方法によることができる。
2 前項の採光補正係数は、次の各号に掲げる地域又は区域の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより計算した数値(天窓にあつては当該数値に3.0を乗じて得た数値、その外側に幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く。)その他これに類するものがある開口部にあつては当該数値に0.7を乗じて得た数値)とする。ただし、採光補正係数が3.0を超えるときは、3.0を限度とする。
関連
2室1室の取扱い
2mを超えると直接採光も見れなくなるので、2室1室とみなす規定を適用し算定します。
また、2室1室として扱うと記載していますが、法第28条第4項に根拠条文が記載されています。
参考
4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、前3項の規定の適用については、1室とみなす。
この規定は、室と居室でも適用可能です。
ですが、縁側が2m以上の場合は、縁側と縁側と接する居室とが、2室1室の適用となります。
そのため、居室の奥に採光が必要な居室があった場合は、2室1室の取扱いはできないのでご注意ください。
採光補正係数の上限3.0
令第20条の最後に【ただし、採光補正係数が3.0を超えるときは、3.0を限度とする。】とあります。
これは、採光補正係数を計算して、3.0を超えても3.0までしか割り増しが使えません。ということです。
また、縁側がある場合は、計算した採光補正係数に0.7をかけた後の数値が3.0です。
よって、縁側がある場合の上限は、3×0.7=2.1ではないです。
まとめ
この記事では、採光補正係数を計算する際に、開口部の反対側に縁側がある場合の検討方法について解説しました。
実際の計画では、さまざまな幅の縁側等がありますが、まずは、計画を行う特定行政庁等に確認していただき特に定めていないのであれば、大阪府の取扱いを参考に検討していただけたらと思います。
方法
- 手続きを行う特定行政庁に検討方法を確認
- 特に検討方法がなければ、大阪府の取扱いで検討
大阪府の取扱
- 0.9m未満 100%
- 0.9m以上~2.0m未満 70%
- 2m超 縁側を室として取扱う
(参照:大阪府内建築連絡協議会 建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕 )
以上が解説となります。
ブログを読んでいただきありがとうございました。
日々の業務の参考になれば幸いです。