設計をする際は、極力無窓居室にならないように設計されるはずです。
その際、採光無窓は1/20、換気無窓は1/20、排煙無窓1/50と思っている方は多いと思います。
しかし、それだけではありません!
それ以外も無窓居室の種類はあります。
知らずに進んでいると、設計を大きくやり直す必要がある規定もあります!!
そこで、この記事では、無窓居室の種類を解説します。
無窓居室の種類
まずは、規定上、無窓居室の種類として、下記の6つがあります。
ポイント
- 採光上有効な開口面積が床面積1/20未満
- 避難上有効な開口部がない居室
- 換気上有効な開口部が床面積の1/20未満
- 排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満
- 床面積50㎡超えの居室で排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満
- 法第28条第1項ただし書きの居室で、開口部が1/5から1/10未満
この中でよく聞くのが、1の【採光無窓】、3の【換気無窓】、4の【排煙無窓】があります。
それでは、条文上で【無窓居室】を解説します。
無窓居室①(採光上有効な開口部の面積が床面積1/20未満)
採光が必要な居室の規定は、2種類あります。
ポイント
- 居室の床面積に対して、1/20の採光上有効な開口部が必要なもの
ここでは、法第28条ではない、法第35条の3→令第111条第1項第1号または法第35条→令第116条の2第1号に規定の床面積に対して、採光上有効な1/20の開口部がない居室です。
参考
第111条(窓その他の開口部を有しない居室等)
法第35条の3(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 面積(第20条の規定により計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の1/20以上のもの
第116条の2(窓その他の開口部を有しない居室等)
法第35条(法第87条第3項において準用する場合を含む。第百127条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 面積(第20条の規定より計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の1/20以上のもの
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居室の採光の解説(法第28条)
居室の採光と言えば、床面積に対して開口部が1/20必要と考えると思います。 それではなく、【法第28条】に規定している採光が必要な居室です。 法第28条で、自然採光を必ず設けなければならず、非常用の照 ...
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無窓居室②(避難上有効な開口部がない居室)
法第35条の3→令第111条第1項第2号の規定よる、内接1m以上、または幅及び高さが75cmかつ、1.2m以上の避難上有効な開口部がない居室です。
参考
第111条(窓その他の開口部を有しない居室等)
法第35条の3(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
二 直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75cm以上及び1.2m以上のもの
無窓居室③(換気上有効な開口部が床面積の1/20未満)
換気無窓は、法第28条第2項にの規定よる、床面積に対して、1/20以上の換気に有効な窓その他の開口部がない居室です。
参考
法第28条第2項
居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
無窓居室④(排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満)
法第35条→令第116条の2第1項第2号の規定よる、開放できる部分(天井又は天井から下方80cm以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50以上ない居室です。
参考
第116条の2(窓その他の開口部を有しない居室等)
法第35条(法第87条第3項において準用する場合を含む。第百127条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
二 開放できる部分(天井又は天井から下方80cm以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50以上のもの
無窓居室⑤(床面積50㎡超えの居室で排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満)
法第35条の2→令第126条の3の2第1号の規定よる、床面積50㎡超える居室で、排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満の居室です。
参考
第128条の3の2(制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室)第5章の2 特殊建築物等の内装
法第35条の2(略)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当するもの(天井の高さが6メートルを超えるものを除く。)とする。
一 床面積が50㎡を超える居室で窓その他の開口部の開放できる部分(天井又は天井から下方80cm以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50未満のもの
無窓居室⑥(法第28条第1項た[だし書きの居室で、採光上有効な開口面積が床面積1/20未満)
法第35条の2→令第126条の3の2第2号の規定による、法第28条第1項ただし書に規定する温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室で同項本文の規定に適合しないものです。
注意ポイント
同項本文の規定に適合しないものとは、床面積に対して有効な開口部が1/20ではなく、1/5から1/10の開口部がない居室です。
参考
第128条の3の2(制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室)
法第35条の2(略)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当するもの(天井の高さが6メートルを超えるものを除く。)とする。
二 湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室で同項本文の規定に適合しないもの
まとめ
この記事では、無窓居室の種類について解説しました。
無窓居室の種類として、下記の6つがあります。
ポイント
- 採光上有効な開口面積が床面積1/20未満
- 避難上有効な開口部がない居室
- 換気上有効な開口部が床面積の1/20未満
- 排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満
- 床面積50㎡超えの居室で排煙上有効な開口部が床面積の1/50未満
- 法第28条第1項ただし書きの居室で、開口部が1/5から1/10未満
今回伝えたいのは、無窓居室の種類が採光無窓、換気無窓、排煙無窓の3種類だけではない!
ということです。
これからの業務の際に、無窓居室が気になったら、この記事をご確認ください。
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また、無窓居室になった場合に適用を受ける規定の種類の解説は後日まとめます。