法第28条で居室に必要な採光上有効な開口部の面積が定められています。
その開口の面積は、開口の面積×採光補正係数で算出します。
また、開口部から居室内に入る光の具合は、開口部ごとで違います。
よって、採光上有効な開口部の面積は、開口部ごとで計算します。
そこで、開口部の外部状況によって異なり、計算するにあたり、いろんな疑問がでてきます。
この記事では、有効採光面積(採光補正係数)を算出する際に出てくる下記の疑問に対して解説します。
はてな
- 有効採光面積の算定
- 採光補正係数の解説
- 用途地域で計算方法が違う
- 敷地が2以上の用途地域に
- 反対側に道路、公園などがある場合
- 縁側は×0.7、天窓は×3
- 採光補正係数のMAXは3
この記事を見ていただくことで、採光補正係数の疑問が解決できます。
※他に疑問がある方は、随時追加しますので、どんどんお問い合わせください。
法第28条については、以下の記事で解説しています。
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居室の採光の解説(法第28条)
居室の採光と言えば、床面積に対して開口部が1/20必要と考えると思います。 それではなく、【法第28条】に規定している採光が必要な居室です。 法第28条で、自然採光を必ず設けなければならず、非常用の照 ...
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参考で大阪府の取扱いを載せておきます。
有効採光面積の算定
有効採光面積は、開口部ごとの面積に採光補正係数を乗じて得た数値の合計です。
参考
有効採光面積=窓の面積×採光補正係数
採光補正係数の解説
ここでは、採光補正係数の算定する際の周辺状況ごとに気になる算定方法を解説をします。
用途地域で計算方法が違う
採光補正係数は、用途地域によって、算出方法が異なります。
用途地域により下記の計算式で算出します。
h:開口部の中心からその直情の建築物の各部分までの垂直距離
d:開口部が面する隣地境界線、または同一敷地内の建築物までの水平距離
水平距離は、その開口部の上部で、一番水平距離が短い部分となります。
住居系
A=(d×h)6-1.4
ただし
- 開口部が道に面する+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が7m以上+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が7m未満+負数 → 0
工業系
A=(d×h)8-1
ただし
- 開口部が道に面する+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が5m以上+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が5m未満+負数 → 0
商業系・指定のない区域
A=(d×h)10-1
ただし
- 開口部が道に面する+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が4m以上+1.0未満 → 1.0
- 開口部が道に面しない+水平距離が4m未満+負数 → 0
敷地が2以上の用途地域に
計画敷地が住居系の地域と工業系の地域にわたる場合は、敷地の過半の属する用途地域に敷地全体があるものとして算定します。
ポイント
(例)敷地の60%が住居系、40%が工業系の場合、敷地のすべてが住居系であるとみなして、採光補正係数を計算します。
根拠【法第91条】
建築物の敷地がこの法律の規定(第52条、第53条、第54条から第56条の2まで、第57条の2、第57条の3、第67条第1項及び第2項並びに別表第3の規定を除く。以下この条において同じ。)による建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域(第22条第1項の市街地の区域を除く。以下この条において同じ。)、地域(防火地域及び準防火地域を除く。以下この条において同じ。)又は地区(高度地区を除く。以下この条において同じ。)の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定を適用する。
法文で見ると少しわかりにくいですが、2以上の地域等にわたる場合は、原則、敷地の過半の地域等の規定の適用を受けることになります。
例外は、集団規定の高さ制限や日影規制など、上記の法文内の青̠̠̠下線部分の規定は、その部分ごとの規定の適用を受けます。
反対側に道路、公園などがある場合
道に面する場合
採光補正係数のdは、通常、開口部から隣地境界線までの水平距離です。
開口部が道に面する場合は、隣地境界線が、道の反対側にあるものとしてみなします。
よって、dは、開口部から隣地境界線までの距離+道路の幅員となります。
公園、広場、川、その他これらのに類する空地又は水面に面する場合
隣地境界線が上記の幅の1/2だけその側にあるものとします。
道の反対側に公園等がある場合
公園の幅の1/2の位置に隣地境界線があるものとします。
公園等の反対側に道がある場合
道路の反対側に隣地境界線があるものとします。
採光補正係数は計算上かなり大きい数値になる場合がありますが、開口部面積に乗ずる数値はMAX3までです。
縁側は×0.7 天窓は×3
開口部の縁側に開口部がある場合は、通常の採光補正係数に0.7を乗じてその数値が採光補正係数となります。
また、大阪では、縁側の幅によって乗ずる数値が変わります。
- 0・9m未満 100%
- 0.9m以上~2.0m未満 70%
- 2m超 縁側を室として取扱う
となっています。
2mを超えるといきなり採光が見れないのは、かなり厳しいですね。
(参照:大阪府内建築連絡協議会 建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕 )
天窓も同様に、採光補正係数に3を乗じた数値が採光補正係数となります。
上記の乗じた後の数値もMAXが3以上とはなりません。
勾配屋根に設けている窓は、少し違う計算式になるためまた別で解説します。
採光補正係数のMAXは3
採光補正係数を算定するのに(d×h)6-1.4(住居系)の算定や、天窓であれば3を乗ずるなどしますが、その採光補正係数は上限は3です。
根拠【令第20条第2項】
参考
前項の採光補正係数は、次の各号に掲げる地域又は区域の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより計算した数値(天窓にあつては当該数値に3.0を乗じて得た数値、その外側に幅九十センチメートル以上の縁側(ぬれ縁を除く。)その他これに類するものがある開口部にあつては当該数値に〇・七を乗じて得た数値)とする。ただし、採光補正係数が3.0を超えるときは、3.0を限度とする。
※縁側がある場合でも、元の数値が大きい場合は、採光補正係数が3となる場合もあります。
よって、どんな開口部であったとしても採光補正係数の上限は、3となります。
まとめ
この記事では、採光補正係数の算定をする際に出てくる下記の疑問に対して解説しました。
少し長くなりましたので、最後にまとめます。
はてな
- 有効採光面積の算定
- 用途地域で計算方法が違う
- 敷地が2以上の用途地域に
- 縁側は×0.7、天窓は×3
- 採光補正係数のMAXは3
有効採光面積の算定
有効採光面積=窓の面積×採光補正係数
用途地域で計算方法が違う
ポイント
住居系 A=(d×h)6-1.4
工業系 A=(d×h)8-1
商業系・指定のない区域 A=(d×h)10-1
h:開口部の中心からその直情の建築物の各部分までの垂直距離
d:開口部が面する隣地境界線、または同一敷地内の建築物までの水平距離
水平距離は、その開口部の上部で、一番水平距離が短い部分となります。
上記の計算にただし書きがあります。
敷地が2以上の用途地域に
計画敷地が住居系の地域と工業系の地域にわたる場合は、敷地の過半の属する用途地域に敷地全体があるものとして算定します。
縁側は×0.7 天窓は×3
居室が縁側に面し、開口部がある場合は、通常の採光補正係数に0.7を乗じてその数値が採光補正係数となります。(縁側の幅によって、係数が変わる場合があります。)
採光補正係数のMAXは3
d/hの計算や、天窓で3を乗じた場合でも、採光補正係数の上限は3となります。
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居室の採光の解説(法第28条)
居室の採光と言えば、床面積に対して開口部が1/20必要と考えると思います。 それではなく、【法第28条】に規定している採光が必要な居室です。 法第28条で、自然採光を必ず設けなければならず、非常用の照 ...
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参考で大阪府の取扱いを載せておきます。
以上が、有効採光面積(採光補正係数)を算出する際に出てくる下記の疑問に対して解説しました。
特定行政庁や民間確認検査機関によって、取扱いが違う場合もありますので、これを参考に確認していただけたらと思います。