建築物は建築後、月日の経過とともに、傷んできます。そのときに「修繕等」を行うかと思います。
そんなとき、特定行政庁や民間確認検査機関に相談すると、その工事は、大規模の修繕・大規模の模様替に該当するので、確認申請がいります。と言われます。
そこで、改修や修繕をあまりされない方は、
はてな
- 大規模の修繕て何?
- 大規模の模様替って何?
- 対象の工事は?
となります。
そんなときのために、この記事では、大規模の修繕と大規模の模様替についてまとめています。
また、特定行政庁や民間確認検査機関によって、取扱いが違う場合があります。
判断に迷う場合は、これを参考にご相談ください。
なお、法文等は参考で記載している部分もありますが、全文を確認される場合は、お手持ちの法令集等をご確認ください。
大規模の修繕・大規模の模様替とは
工事の内容が、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の修繕、模様替であり、修繕、模様替の範囲が主要構造部の過半であるか。です。
また、修繕は、概ね同じ形状、寸法、材料により行う工事となり、模様替は、概ね同じ形状、寸法であるが、材料が異なる工事となります。
よって、簡単にまとめると、主要構造部の過半を修繕や模様替をすることです。
ってそのままじゃん!!となりますので、過半等の用語の説明や取扱いについて、これから解説していきます。
関係条文:法第2条第14号・第15号(用語の定義)
まず、関係条文ですが、大規模の修繕は、法第2条第14号に、大規模の模様替については、同条第15条に記載されています。
また、主要構造部については、同条第5号に記載しています。
用語の解説
大規模とは主要構造部の一種以上の過半
まず、どちらにも【建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の】と記載しています。
主要構造部とは
法第2条第5号に記載していますが、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁等の部分を除くとなっています。
一部除いているものもありますが、防火上重要な部材ということです。
ですので、耐火建築物等で主要構造部を耐火構造などの規定があります。
構造体力上主要な部分
構造体力上主要な部分は、その文字のとおり、構造躯体として、長期荷重や短期荷重をささえる部材のことです。
一種以上について行う過半とは
工事の内容が建築物全体の主要構造部の種類ごとで、過半であるかとなります。
主要構造部の種類によって、過半の考え方が違うので、下記通りとなります。
柱・梁の過半
それぞれの建物全体にある柱の総本数に占める割合の過半になるかです。
これは、場合によっては減築後の増築と判断される場合もあります。
壁の過半
その総面積または壁の長さに占める割合の過半になるかです。
該当する壁の種類
そもそも壁とは主要構造部の壁となりますので、一般的には、耐火および防火の規定で性能を求められる壁とされ、耐火要求される壁、防火区画の壁、防火上主要な間仕切壁などがあります。
総面積?
総面積の場合は、既存の該当する壁の長さと高さで面積を算出し、修繕、模様替する部分の壁の面積と比較し、過半になっているか確認します。
※こちらの方が手間です。
長さ?
長さの場合は、既存の該当する壁の長さを算出し、修繕、模様替えする部分の長さと比較し、過半になっているか確認します。
※こちらの方が楽です。
床や屋根の過半
床は各階の床面積の合計の過半になっているか確認します。
屋根は水平投影面積に占める割合が過半になっているか確認します。
階段
その階ごとまたは全体の総本数に占める割合により、過半かを判断します。
また、2種類以上の主要構造部の修繕および模様替が行われても、各主要構造部ごとで過半になっているか判断します。
よって、種類ごとで過半の考えが違いますので、ご注意ください。
修繕とは
次に、どんな工事が修繕に該当するかですが、既存のものと概ね同じ位置に、概ね同じ形状寸法で、概ね同じ材料を用いてつくりかえ、性能や品質を回復する工事のことをです。
言い換えると、建築当初と同じように復元することです。
修繕の例
既存の板張り外壁を同じ板張り外壁として復元した。
既存のコンクリートブロックの外壁を同じコンクリートブロックの外壁として復元した。
既存の瓦の屋根を新しい瓦で葺き替えた。
模様替とは
模様替とは、概ね同じ位置でも、異なる材料や仕様も用いて造り替え、性能や品質を回復する工事のことです。
模様替の例
木造の柱を鉄骨の柱に造り替えた。
コンクリートブロック造の壁をコンクリート造に造り替えた。
茅葺き屋根を亜鉛鉄板葺きに葺き替えた。
カバー工法について
屋根や外壁では、既存を残しながら、新しい材料をそのまま重ねる形で施工する場合があるかと思います。
一般的にはカバー工法と呼ばれます。
修繕は、概ね同じ感じに造り替え、性能や品質を回復する工事であり、模様替は、概ね同じ位置に造り替え、性能や品質を回復する工事ですが、上記の工事が修繕、模様替に該当するかは、取扱いが特定行政庁によって違うかと思います。
既存の鉄筋コンクリート造の屋根に木造の屋根を作る
既存の鉄筋コンクリート造の屋根はそのまま残し、その上に小屋を組み、屋根を作る工事が大規模な模様替え該当するか。ですが、こちらも、取扱いが特定行政庁によって違うかと思います。
また、このような工事では、木造の屋根についてそもそも木造でもいいのかと言われる場合があります。
建築確認申請の要否確認
大規模な修繕および大規模の模様替に該当する場合は、建築物が法第6条第1項第1号~3号の場合、建築確認申請が必要となります。
確認申請が必要ということは、工事の前に手続きを行う必要がありますのでご注意ください。
後で、確認申請が必要であったと気づいても、原則は、工事に着手する前の手続きとなりますので、着手後の提出はできません。
知り合いの方で、手続きをしていなくて、行政に工事を止められたのを聞いたことがあります。
そのときに一番困るのは建築となるので、ご注意ください。
まとめ
これまで、大規模の修繕と大規模の模様替について解説しましたが、最後にまとめると以下ようになります。
大規模の修繕と大規模の模様替
- 工事の内容が、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の修繕、模様替であるか。
- 修繕、模様替の範囲が主要構造部の過半であるか。
- 過半の取扱いは部材によって違う。
- 修繕は、概ね同じ形状、寸法、材料により行う工事。
- 模様替は、概ね同じ形状、寸法であるが、材料が異なる工事。
となります。
確認申請の要否
また、建築物が法第6条第1項第1号~3号の場合、建築確認申請が必要となります。
なお、特定行政庁や民間確認検査機関によって、取扱いが違う場合がありますので、これを参考に確認していただけたらと思います。