容積率は、昭和46年に全面適用になりましたが、それ以降に様々な改正をしたので、どの時点でどの制度があったのかわからず困る時が多々あります。
建築士の方でなても、不動産関係の方も建物の売買の重要事項説明の際に、古い概要書だけでは、容積率の緩和部分がわからない場合が多いです。
よって、この記事では
ポイント
容積率はいつから?
既存の建築物の容積率に算入する延べ面積は?
既存不適格?
となりますので、この記事ではとそのような疑問をお持ちの方に対する記事となっています。
また、取扱いは特定行政庁または民間確認検査機関によって違う部分がありますので、これを参考にご確認ください。
なお、法文等は参考で記載している部分もありますが、全文を確認される場合は、お手持ちの法令集等をご確認ください。
容積率(法第52条)
制度の改変
昭和38年以前は、建築物の規模(延べ面積)の制限は絶対高さの制限(住居系20m以下、住居系以外)と建蔽率の制限によって間接的に制限していました。
しかし、昭和38年に改正があり、建設大臣が必要があると認める場合においては、第一種容積率から第十種容積地区を指定することができるようになりました。
また、昭和46年の改正により現行の容積率にとなり、全国に適用するこことなりました。
容積率の指定の時期が法の施行時と違う
用途地域の種類と容積率の数値は都市計画でを定めることとなっています。
大きく制度が変わっているときは、都市計画の用途地域や容積率の指定が法の施行日と異なる場合がありますので、特定行政庁に確認していただけたらと思います。
新しく指定していない時期は、従前の規定で確認処分をしていたと思われますが、各特定行政庁ごとで取扱いが違うため個々に確認する必要があります。
また、問い合わせ先は建築担当課ではなく、都市計画担当課になる場合があります。
主な改正
自動車車庫部分の容積率緩和(全体の1/5)←昭和39年1月15日
自転車駐輪場部分の容積率緩和(全体の1/5)←昭和62年11月16日
住宅の地階部分の容積率緩和(全体の1/3)←平成6年6月29日
共同住宅の共用部分の容積率緩和←平成9年9月1日
昇降機の昇降路部分の容積率緩和←平成26年7月1日
老人ホーム等の地階の容積率緩和(全体の1/3)←平成27年6月1日
老人ホーム等の共用部分の容積率緩和←平成30年9月25日
宅配ボックス部分の容積率緩和(全体の1/100)
改正の流れ
法律
施行 昭和39年(1964)1月15日 制定 昭和38年法律第151号
旧法59条の2(容積地区)
- 大臣が必要と認める場合においては、容積地区の指定(第一種容積地区~第十種容積地区の10分の10以下~10分の100以下)
- 道路幅員の容積率強化(幅員に0.6を乗じたもの以下)
施行 昭和46年(1971)1月1日 制定 昭和45年法律第109号
第52条(延べ面積の敷地面積に対する割合)
- 用途地域ごとに都市計画で容積率の限度を定める(全面適用)
施行 昭和52年(1977)1月15日 制定 昭和51年法律第83号
- 道路幅員の容積率強化(前面道路12m住居系0.4、住居系以外0.6)
- 地域、地区内外の容積率の検討
施行 昭和62年(1987)11月16日 制定 昭和62年法律第66号
- 特定道路の容積率緩和
- 壁面線の容積率緩和
施行 平成5年(1993)6月25日 制定 平成4年法律第82号
- 住居系用途地域の細分化
施行 平成6年(1994)6月29日 制定 平成6年法律第62号)
- 住宅の地階部分の容積率緩和(全体の1/3)
施行 平成9年(1997)9月1日 制定 平成9年法律第79号
- 高層住居誘導地区内の容積率1.5倍
- 共同住宅の共用部分の容積率緩和
施行 平成13年(2001)5月18日 制定 平成12年法律第73号
- 特例容積率適用地区制度の創設
施行 平成15年(2003)1月1日 制定 平成14年法律第85号
- 指定容積率の指定可能
- 住宅の容積率1.5倍が許可から確認時の審査へ
施行 平成26年(2014)7月1日 制定 平成26年法律第54号
- 昇降機の昇降路部分の容積率緩和
施行 平成27年(2015)6月1日 制定 平成26年法律第54号
- 老人ホーム等の地階の容積率緩和(全体の1/3)
施行 平成30(2018)年9月25日 制定 平成30年法律第67号
- 老人ホーム等の共用部分の容積率緩和
施行令
施行 昭和39年(1971)1月15日 制定 昭和39年法律第4号
第2条(面積、高さ等の算定方法)
- 自動車車庫部分の容積率緩和(全体の1/5)
施行 昭和62年(1987)11月16日 制定 昭和62年法律第348号
- 自転車駐輪場部分の容積率緩和(全体の1/5)
施行 平成24年(2012)9月20日 制定 平成24年法律第239号
- 備蓄倉庫部分の容積率緩和(全体の1/50)
- 蓄電池設置部分の容積率緩和(全体の1/50)
- 自家発電設備設置部分の容積率緩和(全体の1/100)
- 貯水槽設置部分の容積率緩和(全体の1/100)
施行 平成30年(2018)9月25日 制定 平成30年法律第67号
宅配ボックス部分の容積率緩和(全体の1/100)
既存不適格?
特定行政庁で概要書の閲覧ができますが、古い概要書は、延べ面積しか記載されおらず、容積率の緩和を受けているかわかりません。
また、特定行政庁によっては、カッコ書きや2段書きで容積率対象延べ面積が書いているところもあります。
よって、概要書で容積率を計算すると、容積率がオーバーしているときがあります。
容積率で既存不適格になるケースとしては、
- 法律が改正
- 用途地域や容積率の数値の変更
の二つです。
法律の改正
建築基準法そのものの法律の改正により、違反になるケースはほとんどないです。
最近の改正は宅配ボックスの部分の緩和など、緩和側の改正です。
古い建築物であれば、昭和52年の道路幅員からの容積率の強化(住居系は0.4、その他は0.6の数値)もありますが、基本的にはケースとして、ほとんどないと思われます。
用途地域や数値の変更
- 用途地域の変更は用途地域が8種類から12種類(13種類)に増えた
- 市街化区域へ編入した
などが厳しい用途地域や数値の指定することなどが考えられます。
まとめ
この記事では
ポイント
容積率はいつから?
改正内容は?
既存不適格?
と疑問をお持ちの方に対する記事となっていますが、最後にまとめると以下ようになります。
容積率はいつから?
昭和46年の改正により現行の容積率にとなりました。
しかし、都道府県や市町村によっては、創立の施行日と都市計画の施行日が違う場合アがあります。
改正内容は?(主な改正)
自動車車庫部分の容積率緩和(全体の1/5)←昭和39年1月15日
自転車駐輪場部分の容積率緩和(全体の1/5)←昭和62年11月16日
住宅の地階部分の容積率緩和(全体の1/3)←平成6年6月29日
共同住宅の共用部分の容積率緩和←平成9年9月1日
昇降機の昇降路部分の容積率緩和←平成26年7月1日
老人ホーム等の地階の容積率緩和(全体の1/3)←平成27年6月1日
老人ホーム等の共用部分の容積率緩和←平成30年9月25日
宅配ボックス部分の容積率緩和(全体の1/100)
既存不適格?
既存不適格になるケースとしては
- 昭和52年の道路幅員からの容積率の強化
- 用途地域の変更は用途地域が8種類から12種類(13種類)に増えた
- 市街化区域へ編入した
以上、となります。
地方公共団体(特定行政庁)によって指定の経緯は違いますで、これを参考にしてご確認していただけたらと思います。